臨床研究

臨床研究についてのお知らせ

特定臨床研究「進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対するジスルフィラムの安全性・有効性の探索的試験」


【本研究の趣旨】
 進行性線維化を伴う間質性肺疾患は、慢性進行性に呼吸機能が低下し、時に呼吸不全に至る疾患です。現在、保険適用のある標準治療であるニンテダニブ(商品名:オフェブ)は、その呼吸機能低下を抑制する効果が知られていますが、薬価が高く、下痢や肝機能障害などの副作用が報告されています。このため呼吸機能が低下していても自覚症状に乏しい場合、患者さんが治療をためらわれることが経験されます。ジスルフィラム(商品名:ノックビン)には、効能・効果である慢性アルコール中毒に対する抗酒療法のほか、炎症・線維化に関わるシグナルを阻害する作用が報告されております。1983年より日本国内で使用されており長い臨床実績のある、比較的安全で安価な薬剤と
考えられており、間質性肺疾患の治療に有用ではないかと考えておりますが、進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対する安全性・有効性は現時点で分かっておりません。
 本研究は、進行性線維化を伴う間質性肺疾患患者さんにジスルフィラムの投与を行い、その安全性・有効性を調査する特定臨床研究です。

【試験の概要について】
 「進行性線維化を伴う間質性肺疾患」と診断された患者さんで、研究参加時点でニンテダニブによる治療を希望されず、本研究に同意いただける方が対象となります。
 患者さんは、スクリーニング期間を経て、13週間ジスルフィラム0.2gを1日1回内服いただきます。研究期間中、当院に来院し診察および血液検査や画像検査、肺機能検査などを組み合わせて評価することで、副作用などの有害事象や治療効果の発現について評価します。
患者さんの参加期間はおよそ4カ月程度です。なお、注意点としてジスルフィラムは抗酒薬であるため、本研究参加中は少量であってもアルコール摂取を行わないでください。
 本研究の終了後、得られた情報を解析します。個人情報は匿名化され、情報は厳重に保管されます。なお、本研究では公表すべき利益相反はありません。

本臨床研究にご興味がある方は、まずは現在かかりつけの主治医の先生より、下記にご連絡いただけますようお願いします。

【連絡先・お問合せ先】
東京大学医学部附属病院 呼吸器内科 漆山 博和
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
電話: 03-3815-5411  Fax: 03-3815-5954


「呼吸器疾患における、DPC病名の妥当性の検証」


1.本研究(検討)の目的
 医療データベースは医学研究に広く利用されています。特に、日本のDPC(Diagnosis Procedure Combination)データベースは、臨床疫学研究に広く利用されています。医療データベースの研究利用は、データベースが健康状態やサービス利用に関する正確なデータを提供するという前提に基づいています。不正確なデータを使用すると、結果に偏りが生じる可能性があるため 医療データベースに記録されている情報の検証が不可欠です。呼吸器内科領域において、DPCデータベースが正確であるかを検証した論文はありません。
 本研究の目的は、電子カルテ閲覧の結果を参照基準として、DPCデータに記録された呼吸器疾患の病名の妥当性を評価することです。

2.対象
 2019年4月1日から2021年3月31日までの期間で、日本赤十字社医療センター呼吸器内科ならびに東京大学医学部附属病院呼吸器内科において、呼吸器内科を受診(入院、外来、救急外来、コンサルト)された全患者さんを対象とします。

3.方法、研究が行われる機関、実施場所
 1. 2019年4月1日から2021年3月31日までの期間に呼吸器内科を受診(入院、外来、救急外来、コンサルト)された全患者さんを抽出
   し、患者リストを作成します(=全IDリスト)。リスト作成の際に、ID以外の個人情報は抽出いたしません。
 2. 全IDリストのうち、2019年4月1日から2021年3月31日までの期間に入院された患者さんを抽出し、患者リストを作成します
  (=入院IDリスト)。入院IDリストには、入院日、退院日、DPCデータ=全病名、入院診療科が含まれます。なお、この入院は呼吸器
   内科が主科となった入院だけでなく、他科に入院された場合も抽出いたします。
 3. 入院IDリストのうち、各病院でランダムに200人の患者さんを抽出し、電子カルテを閲覧する患者リストを作成します(=閲覧患者
   リスト)。
 4. 各病院において、異なる2名の医師が、独立して閲覧患者リストの電子カルテを閲覧し、「カルテ記載病名」をまとめます。
 5. DPC病名とカルテ記載病名のうち、呼吸器疾患に関連する病名(例:肺がん、間質性肺炎、肺炎、喘息、COPDなど)を特定します。
 6. 2病院のデータを統合します。
 7. DPC病名とカルテ記載病名を照合し、DPC病名の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率などを算出します。

4.研究における倫理的配慮について
 この研究に関わって収集される試料や情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱います。患者さんのお体へ新たにご負担をかけることはありません。また、費用もかかりません。

5.研究への参加・不参加について
 上述のような後ろ向き観察研究ですが、ご自身のデータが観察研究に用いられることを同意されない場合には、研究代表(下記)または担当医にご連絡して下さい。また、観察研究に同意されなくても、今後あなたの病気の治療を続ける上で、不利な扱いを受けることは決してありません。

詳細は下記をご覧ください。
リンク(PDF)

連絡先:東京大学医学部附属病院 呼吸器内科 漆山 博和
電話03-3815-5411 内線:37177


「呼吸器内視鏡に関する多施設共同データベースを用いた前向き観察研究」について


1.本研究(検討)の目的
 呼吸器内視鏡(気管支鏡および胸腔鏡)を用いて行う診断および治療は、併用技術の進歩に伴い、徐々に向上しています。しかしながら確立された方法は少なく、経験的を基に行われる手技も少なくありません。特に施設間でのばらつきは大きく、依然として改善の余地があります。一方、新たな機器やデバイスの開発が進んでおり、導入後の情報をいち早く収集することは、これらの臨床的な意義を正しく理解するために重要です。本研究は各参加施設で実施される呼吸器内視鏡検査に関するデータ収集および解析を目的としています。

2.対象
 2019年1月1日から2024年2月18日までの期間で、各参加施設において、呼吸器内視鏡(気管支鏡および胸腔鏡)を用いた診断、治療等を行う全ての患者さんを対象とします。

3.方法、研究が行われる機関、実施場所
 これまでの診療でカルテに記録されている血液検査や尿検査結果、画像検査、病理検査などのデータを収集して行います。本研究は多施設共同研究であり、共同研究機関である国立がんセンター中央病院内視鏡科、大阪市立大学附属病院呼吸器内科、および久留米大学医学部呼吸器・神経・膠原病内科との間で、個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにした匿名化情報として、パスワードロックをかけた電子的配信等でのデータの授受が行われることがあります。

4.研究における倫理的配慮について
 この研究に関わって収集される試料や情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱います。患者さんのお体へ新たにご負担をかけることはありません。また、費用もかかりません。

5.研究への参加・不参加について
 この研究のためにご自身(あるいはご家族)のデータを使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の研究事務局まで2024年2月18日までにご連絡ください。ご連絡がなかった場合には、ご了承いただいたものとして対応いたします。

詳細は下記をご覧ください。
リンク(PDF)

連絡先:東京大学医学部附属病院 呼吸器内科 細木 敬祐
電話03-3815-5411 内線:36846


COVID-19蔓延時期における、感染者および非感染者の臨床的検討


1.本研究(検討)の目的
 いわゆる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2019年12月にはじめて中国で報告されて以降、日本を含む全世界的に広がっております。東大病院においても患者の一部の受け入れや、かかりつけ患者の感染者の診療を行っております。また、本感染症の蔓延期においては、確定例ではないが、臨床所見や画像所見において、本感染症と区別が困難な患者さんも多く存在し、このような患者さんに対する感染対策も重要となります。東大病院においては、確定例に対する診療チームとは別に、これら疑い例の患者さんの感染対策についても、呼吸器内科、感染制御部からなる院内肺炎専門チームにおいてカンファレンスを行っております。本研究は、当院に入院するCOVID-19確定患者および疑われた患者さんの臨床的特徴を明らかにすることを目的とします。

2.対象
 2020年1月1日 ~ 2024年12月31日の間に当院でPCR検査等でCOVID-19の確定診断が得られた方、およびCOVID-19が疑われるなどして、かかりつけ発熱外来を受診したり、院内肺炎専門チームが入院中に個室隔離・接触飛沫感染予防策等の感染対策を行われたりした方。

3.方法、研究が行われる機関、実施場所
 上記確定例や疑い例については院内肺炎専門チームが日々リスト化してカンファレンスを行っています。その患者一覧をもとに患者カルテ・診療情報・検査結果・画像所見を閲覧しながら、個人情報を除いた形(匿名化)でリストを再構成します。患者識別情報が含まれないデータのみを用いて、研究者は、東京大学医学部附属病院内において、データの統計解析を実施します。

4.研究における倫理的配慮について
 本研究は、直接患者さんに介入する研究ではなく、患者さんの生命・健康に直接影響を及ぼさず、費用もかかりません。また、人体から採取した試料は用いず、患者を特定するデータも存在しません。

5.研究への参加・不参加について
 上述のような後ろ向き観察研究ですが、ご自身のデータが観察研究に用いられることを同意されない場合には、研究代表(下記)にご連絡して下さい。また、観察研究に同意されなくても、今後あなたの病気の治療を続ける上で、不利な扱いを受けることは決してありません。

詳細は下記をご覧ください。
リンク(PDF)

連絡先:東京大学医学部附属病院 呼吸器内科 漆山 博和
電話03-3815-5411 内線:37177


「呼吸器疾患の包括的後ろ向き観察研究」について


1.本研究(検討)の目的
 呼吸器領域の疾患には、細菌性肺炎やウイルス性肺炎、肺結核、肺真菌症などの呼吸器感染症や、喘息やアレルギーによるアレルギー性気道疾患と閉塞性肺疾患などの気道系疾患、間質性肺炎やサルコイドーシス、自己免疫性疾患を含めたびまん性肺疾患や、肺癌、悪性中皮腫などの腫瘍性疾患、また、血液疾患や他臓器に伴う全身性疾患に伴う呼吸器疾患や薬剤や放射線治療に伴う医原性肺疾患など多岐にわたるさまざまな疾患が存在します。殆どの呼吸器疾患は、本質的には呼吸障害つまりガス交換障害が主要な病態となります。
 残念ながら、呼吸器領域の疾患においては、未だに治療法が確立していない疾患も多く、病態の解明や治療法の開発のために様々な臨床研究を行う必要があります。とくに、疫学的に、さらに、臨床的にも個々の症例を解析し、検討していくことが今後の診療と治療法の確立に重要なポイントとなると考えられます。
 そこで、当科では、当科通院中あるいは通院した外来患者さんと過去に当院に入院した呼吸器疾患の患者さんを対象として、全ての呼吸器疾患について、臨床診断・病理診断・画像診断をもとに、検査所見や臨床経過・治療内容を含め、その治療の有効性や生存期間などを検討し、さらに治療による合併症や副作用までも含め、包括的な臨床研究を行い、当院での今までの診断、治療の状況、そしてその効果を把握・検討することにより、今後の呼吸器疾患患者の診断・治療の指針となるよう検討することを目的としています。

2.対象
 対象となる患者さんは、1998年4月から承認日までの間に東京大学医学部附属病院呼吸器内科に入院された患者さんです。

3.方法、研究が行われる機関、実施場所
 患者カルテ・診療情報・検査結果を閲覧しながら、個人情報を除いた診療内容を調査票に記入します。この時点で患者の匿名化は完了しています。患者識別情報が含まれないデータのみが用いられます。研究者は、東京大学医学部附属病院内において、データの統計解析を実施します。

4.研究における倫理的配慮について
 本研究は、直接患者さんに介入する研究ではなく、患者さんの生命・健康に直接影響を及ぼさず、費用もかかりません。また、人体から採取した試料は用いず、患者を特定するデータも存在しません。

5.研究への参加・不参加について
 上述のような後ろ向き観察研究ですが、ご自身のデータが観察研究に用いられることを同意されない場合には、研究代表(下記)にご連絡して下さい。また、観察研究に同意されなくても、今後あなたの病気の治療を続ける上で、不利な扱いを受けることは決してありません。

連絡先:東京大学医学部附属病院 呼吸器内科 三谷 明久
電話03-3815-5411 内線:37892


「肺癌および炎症性肺疾患におけるバイオマーカーの探索」について


1.本研究(検討)の目的
 採血検査や胸水穿刺(胸腔に溜まった液体を採取すること)は、細い針を刺すことで検体を簡便に入手することができ、内視鏡検査や手術に比べて格段に負担の少ない検査です。血液や胸水を分析することによって、肺癌や炎症性の病気を区別でき、さらに病気の進行度を判定することができれば、病気の診断や治療方針の策定に、非常に有用です。今回の研究では、血液や胸水を分析して、診断や治療に有用な成分を探索します。採血検査や胸水穿刺(胸腔に溜まった液体を採取すること)は、細い針を刺すことで検体を簡便に入手することができ、内視鏡検査や手術に比べて格段に負担の少ない検査です。血液や胸水を分析することによって、肺癌や炎症性の病気を区別でき、さらに病気の進行度を判定することができれば、病気の診断や治療方針の策定に、非常に有用です。今回の研究では、血液や胸水を分析して、診断や治療に有用な成分を探索します。

2.対象
 対象となる症例は、東京大学医学部附属病院呼吸器内科に入院された患者さん、もしくは同病院入院中に呼吸器内科コンサルトを受けた患者さんのうち、受持ち医もしくは研究担当者より本研究に関する説明を受け、同意を頂いた方です。

3.方法、研究が行われる機関、実施場所
 研究参加者は通常の診療にあたって必要な採血検査または胸水穿刺を受けます。採血検査の場合、一回の採血検査で10mlの余分な血液が採取されて、研究に活用されます。胸水穿刺では、採取された胸水のうち、検査・診断のために必要な量を除いた残りの部分のうち、10mlを研究に活用します。いずれの場合も、研究に参加することによって、注射針での穿刺の回数が増えることはありません。
 研究担当者は、東京大学医学部附属病院内において、血液や胸水の液体成分に含まれる蛋白質や核酸の一部を測定します。また、一部の検体は東京大学医科学研究所へ送付され、蛋白質の解析を行います。病気やその進行度などに応じて、これらの物質が増加したり減少したりしていないか、解析を行います。
 患者カルテ・診療情報・検査結果を閲覧しながら、個人情報を除いた診療内容を調査票に記入します。この時点で患者の匿名化は完了しており、患者識別情報が含まれないデータのみが用いられます。研究者は、東京大学医学部附属病院内において、データの統計解析を実施します。

4.研究協力の任意性と撤回の自由
 この研究にご協力いただくかどうかは、研究参加者の方々の自由意思に委ねられています。もし同意を撤回される場合は、同意撤回書に署名し、東京大学医学部附属病院・呼吸器内科にご提出ください。なお、研究にご協力いただけない場合にも、皆様の不利益につながることはありません。研究期間中にご本人の申し出があれば、解析前に関しては可能な限り採取した資料(試料)等及び調べた結果を廃棄します。

5.研究における倫理的配慮について
 本研究は、直接患者さんに介入する研究ではなく、患者さんの生命・健康に直接影響を及ぼしません。また、患者さんを特定するデータも存在しません。東京大学医学部の倫理審査委員会において、この研究に参加された方の不利益にならないことや医学の発展に役立つ情報が得られることが確認され、承認を受けています。

東京大学医学部附属病院 呼吸器内科
田中 剛(研究担当者)
三谷明久(連絡担当者)03-3815-5411 内33075


【研究課題】 呼吸機能検査データの解析による新たな病的因子の同定(PDF)

【研究課題】 悪性胸膜中皮腫における薬物療法に関する臨床実態についての後ろ向き研究(PDF)

【研究課題】 化学放射線療法+デュルバルマブ地固め療法後に再発した非小細胞肺癌に対する免疫複合療法の有効性に関する
       多施設後方視的検討(NEJ 066 試験)
(PDF)

TOPへ